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DeloitteとEuroActiveによるヨーロッパのフィットネス業界情報報告書

2016-01-18 10.23.55

European Health & Fitness Market Report 2016

 この報告書は2015年度のヨーロッパのフィットネス業界のあれこれを調べた報告書です。

その中でも今回はフィットネスマシーン業界の部分にスポットをあてます。ここでは5つの主要なフィットネスマシーン会社として、LifeFitness, Technogym, Johnson Health Tech, Precor, Cybexを挙げています。

フィットネスマシーン業界

フィットネスマシーンの市場は、消費者市場と商業市場の2つの部門に分けられる。この報告書では後者を中心に紹介する。販売されている製品は主にカーディオ系マシーン(トレッドミル、バイク、階段のぼりステップ、クロストレーナーなど)とストレングス系マシーン(プレート重量を使ったもの、ウエイトリフティングに使用するもの、フリーウエイト、ベンチやラックなど)で、その他にも様々な付属的な製品もある。

2015年度の主要会社の純売上高は14.7%増加

 5つの会社の2015年度の総売り上げは約2721億8千円で、そのうち商業市場での売り上げが約2375億8千4百万円、消費者市場での売り上げが約345億9千6百万円でした。前年度と比べると14.7%増加しました。この現象はアメリカドルの為替レートの影響によるもので、アメリカで活躍する企業にとっては売り上げを伸ばす大きな追い風となりました。しかし、アメリカに本社を置く会社(LifeFitnessなど)は一定の通貨での計算上でも売り上げをのばしています。

 

5つの主要会社の2015年度売り上げランキング *()内は前年度比。

  1. LifeFitness – 約864億円 (↑24%)
  2. Technogym – 約634億円 (↑10%)
  3. Johnson Health Tech – 約591億円 (↑15.8%)
  4. Precor – 約442億円 (↑11.4%)
  5. Cybex – 約188億円 (↓1.3%)

 

Total net sales (2015)

Total net sales growth (vs. 2014)

Company

2015 (EURm)

Commercial (%)

In EUR

Local currency

Currency

LifeFitness

697

91%

24.0%

3.7%

USD

Technogym

512

88%

10.0%

10.0%

EUR

Johnson Health Tech

477

73%

15.8%

-3.2%

USD

Precor

357

93%

11.4%

-6.9%

USD

Cybex

152

100%

-1.3%

-17.5%

USD

Total

2,195

87%

14.7%

0.9%

 

スクリーンショット 2016-05-25 14.15.37

5つの主要会社の市場占有率は72

 この5つの主要会社が占める市場の占有率は72%で、専門家によると「この占有率は最近の買収(2015年6月PrecorのQueenax買収、2016年1月のLifeFitness のCybex買収など)によるものだ」という見解。また別の専門家はフィットネスマシーン業界について「まだ成長は見せているが、熟してしまった市場だ」とも話している。

 今後、新しい発展市場の開拓や新しいコンセプトでオープンするジムやブティックジムなどの獲得において各社の競争がさらに激しくなるだろう。

 現在、高い成長が期待されているのは、アジア・パシフィック区域である。特に、Technogym、Matrix、LifeFitnessなどの主要会社の仕入れ先がある中国市場は大きな成長を期待されている。さらに、新たな市場として中東やアフリカが注目されている。その理由として、浸透率がとても低いこと、肥満・糖尿病患者率の増加、経済成長率の増加が挙げられる。LifeFitnessが大半を占めるラテンアメリカ市場は為替変動と輸出の制限によって衰退傾向にあるにあるため、他のメーカーにとっては参入が厳しい状況となっている。全体的に、アメリカドルの強みがアメリカ系のメーカーには大きな影響を及ぼしている。

 

ファンクショナルトレーニングとデジタル化が今後のトレンドのカギ

カーディオやストレングスマシーンの売り上げも伸びる中、一番急成長を見せているのはファンクショナルやアスレチック系器具である。アクセサリーの現代化、フリーウエイト、ファンクションに特化したアイテムがその成長を助長している。たくさんの市場専門家が今後世界やヨーロッパのフィットネス業界で急成長するだろうと話しているのがテクノロジーの発展である。たとえば、ウエラブルや個人のフィットネス満足度を上げる機器などである。ある専門家は「人工知能によるコーチングや人によるコーチングの部門の動きに注目すべきだ」としている。さらにこの業界は社会人口学的な傾向(運動する人の増加、肥満率の増加、年齢層など)に左右されていく見通しだ。

主要5フィットネスマシーン会社の概要

LifeFitness

LifeFitnessはBrunswick Corporationの子会社で、アメリカイリノイ州のRosemontに本社がある。2015年度は純売上高が約864億円で、そのうち54%はアメリカ、19%はヨーロッパでの売り上げとなっている。LifeFitnessは主に商業市場で活躍。現在、世界屈指のフィットネスマシーン供給者であり、約787億4千万円を売り上げた。この商業市場での売り上げは会社の純売上高の91%を占めており、残りの9%は消費者市場での売り上げとなっている。

LifeFitnessは1968年に世界初となるコンピューター制御された運動器具、Lifecycle bikeを販売。1997年にはLifeFitnessに次いで世界で2番目に使用されていたハンマーストレングスを買収、2015年7月にはSCIFITを買収してactive aging市場に参入、2016年1月にはCybexを買収し、製品の選択範囲をさらに広げた。さらに、inMovementの製品を取り入れ、オフィスや職場内で立ったり座ったり、トレッドミルの付いた机で仕事をしながら運動したりと、内勤中心の会社にも市場を広げている。2015年には総純売上高がユーロで24%、USドルで3.3%増加したと報告している。全体の成長には新しい製品発表、商業市場の根強い成長、SCIFITの買収が大きく影響している。さらにLifeFitnessは他者と比べて、製造規模、世界的な流通ネットワーク、長い会社の歴史、製品の選択の幅広さが特徴である。

Technogym

イタリアに本社を置くTechnogymは世界中で約634億8千8百万円を売り上げた。前年に比べて10.0%増加し、LifeFitnessに次いで2位となった。総売り上げの88%は商業市場での売り上げで、残りの12%は消費者市場からとなっている。

Technogymはヨーロッパに本社を置く最大のマシーン会社であり、総売り上げの8%はイタリアでの売り上げとなっている。

社長でもある創設者のNerio Alesandriは1983年にCesenaに会社を設立した。2008年にCandover(ヨーロッパ屈指の買収専門会社)が地理的な成長とコアな顧客部門のビジネス成長のために40%の株を獲得した。2016年2月、TechnogymはMilanの株式市場に上場に関する書類を提出し、年内には上場企業となりそうだ。Technogymは製品開発、ソフトウェアとデジタル画像、デザイン、製品のクオリティーと信頼性を重視している。

Johnson Health Tech

2015年度、Johnson Health Techは総純売上高が約591億4千8百万円だったと報告した。総純売上高は消費者市場では減少したが、商業市場では約430億2千8百万円を記録し、27%の増加を示した。この成長は主に継続的な製品の受け入れ(特にテクノロジー製品やストレングス系の提案)と新しい製品の導入による。通貨が2015年の経理に大きな影響を及ぼしており、総純売上高がアメリカドルでは3.2%の減少であったが、ユーロでは15.8%の増加がみられた。

1975年に台湾で設立され、Matrix、Vision Fitness、Horizon Fitness、Tempo Fitness、Johnson Fitnessから構成されている。さらに2015年11月に、アメリカに本社を置く小売チェーン店の2nd Wind Exercise Equipmentを買収した。これを機に58店となった小売店を使って、減少傾向にある消費者市場での売り上げを上げたいと考えている。Johnson Health Techは2003年から台湾証券取引にリストされている。Johnsonは売り上げの38%をヨーロッパから、33%をアメリカから獲得しており、ヨーロッパ市場の重要性を強調している。25社ある直営の子会社と70社以上の販売代理店により、Johnsonはこの業界内で一番確立されていて、幅広い流通ネットワークを保有していると考えている。

Precor

2015年度に総売り上げ約442億6千8百万円を記録し、5つの会社の中では4位に位置している。

1980年に創設し、アメリカのWoodingvilleに本社を置く。2002年からはAmer Sports Corporationの一部として、フィンランド株式市場に上場している。Amerは世界有数のスポーツ器具の会社で、Salomon、Wilson、Atomicなどのブランドを所有している。2015年度、Precorは昨年と比べて総純売上高を11.4%伸ばした。マネジメントチームによると、2つの大きな要因があるようだ。一つはネットワーク化されたフィットネス器具や付属のエンターテイメントシステムの継続的な成長、もう一つは中国での成長とフィットネス器具の新しい市場での活躍だと考えている。地理的には、総純売上の57.1%を北アメリカから、16.2%をヨーロッパから得ており、2015年度は全体の93.1%を商業市場で売り上げた。

Cybex

2015年度に約188億4千8百万円の総売り上げを記録し、前年と比べると1.3%減少(現地通貨で17.5%減少)した。Cybexは商業市場でのみ販売しており、その69%を北アメリカ(約186億円)、12%をヨーロッパ(約22億3千2百万円)で売り上げている。主な売り上げは長年続く顧客と地域の健康施設である。高級な市場をターゲットにすることで、Cybexは効率性、結果、機能性を重視し、他社との差別化を図っている。私営や公営のフィットネスクラブ、ホスピタリティーや居住者向けの施設、軍隊などが大きな顧客である。2016年1月、Brunswick Corporation(LifeFitnessの親会社)に約221億9千6百万円で買収された。この大きな買収はLifeFitnessを世界のトップポジションに押し上げることとなった。

http://www.europeactive.eu/